同じ地域で農業を営む私と同世代の青年のことがずっと気になっていた。
私の店から1km程離れた辻地区、そこで先祖から受け継いだ伝統と歴史を守るように農業を続ける姿を記録したいと思いながらも機会がなかった。撮影のきっかけとなったのはお互いが所属している消防団合同演習会後の慰労会そして、Face Book。消防、農業、インターネットと関連の無いようなところで繋がっていくのが何だか面白かった。
桜の花にはちょっと早いが菜の花咲き誇る3月下旬、訪問させて頂いた。
母屋から雑木林を抜けて畑へ。一気に視界が広がり、柔らかい光の中でヤギが戯れ、菜の花が咲いている幸せに満ちた空間。懐かしくて優しい空気。
こんな近くに、こんな素敵な場所が広がっていることがただ、嬉しかった。
会話の中で、彼は自分のことを「百姓だから」と言っていた。百姓とは新明解国語辞典よると「農業をすることの古風な言い方」とある。また、ウィキペディアでは「百姓とは、元は百(たくさん)の姓を持つ者たち」とある。実際に彼は本業以外にも、沢山のボランティア活動、講師、地域の役職で忙しく、両手では収まり切れない程の姓を持っている。