成人して初めて選挙に行ったのは名倉氏が初めて出馬した鳩ヶ谷市長選挙だった。
その頃、久々に会った地元の幼馴染達と誰に投票するかを、
自分の欲しい新車を買うのと同じノリで話した。
地方政治への関心は皆無の私だったが、少しだけ大人になった気がした。
激戦の選挙で勝利した名倉隆氏45歳。
世の中はバブル景気に湧き、全ての経済活動が右肩上がり。
一方、その当時の私といえば、
会社勤めを続けるか、地元で商売を継ぐか悶々とした日々を送っていた。
そんな時に誕生した鳩ヶ谷のニューリーダーが名倉氏だった。
この町が大きく変っていくような気がした。
その翌年、私はサラリーマンを辞めて家業を継いだ。
鳩ヶ谷に縁のある方の撮影を始めるにあたり、
この場所で、名倉氏を撮影しなければ何も始まらないように思えた。
恐る恐る撮影の申し出をしたところ、快くお受けして頂いた。
春の到来を感じる3月上旬、旧鳩ヶ谷市役所の庁舎でお会いした。
改めて見上げた鳩ヶ谷庁舎と名倉氏の変らない存在感。
撮影の途中、名倉氏が通りすがりの人に親しげに挨拶を交わしたり、
また声をかけられたりする場面が何度もあった。
現職市長だった頃と同じ溌剌とした印象が懐かしく嬉しかった。
名倉氏にとって鳩ヶ谷とは?
「古さと新しさが同居しながら発展し続けている町。
小さい町だからこそ人々の息遣いを感じることが出来る町。」
そんなお答えを頂いた。
鳩ヶ谷という町の、郷土、歴史、共同体。
そのバトンを引き継いで繋いでいくために。
写真を撮り続けたいと改めて思った。
2014年4月2日