極度な肥満のため引きこもっている主人公。
時々訪れるのは妹とその夫。
撮影したまま古いフィルムを見つけて現像したところ、
そこに写っていたのは楽しかった日々の写真。
その写真を現像するために訪れた写真屋で中古のデジタルカメラを手に入れ、
そのカメラで写真を撮影する中で自分の輝きを取り戻していく。
カメラを持てば誰でも芸術家になれるのですからね。
私もそうですが、写真を撮影することで、自分が変れるし、
世の中が違って見えてくるのです。
そして、
義理の弟、写真屋の息子達との友情が育まれていく。
肥満による心臓への負担のため外出も命がけ。
それでも、写真を撮るために、彼の思いを叶えるために三人は海に向かう。
映画の中でカメラが重要なモチーフとなっていまいす。
未現像のフィルムが入っていたのは110フィルムのポケットカメラ。
カメラ屋から半分騙されて購入したのは中古のオリンパスのコンパクトデジカメ。
再生の旅に出かける時に写真屋からプレゼントされるのはニコンF3。
この映画祭はデジタル撮影された映画のコンペという触れ込みで
13年前にスタートしました。
その頃はちょうどアナログからデジタルへの移行期でした。
現在ではデジタル撮影が当たり前になっておりますが、
この映画のもう1つのテーマとして、
アナログフイルム、アナログプリントへのオマージュがあると思います。
お部屋のセット、アパートの経年劣化感がとても素敵です。
カメラ同様、過去、古いものを優しく見つめる監督の暖かい眼差しを感じました。
写真屋さん必見の映画です。